第1章 次亜塩素酸の基礎第2章 次亜塩素酸の殺菌・不活化機序第3章 次亜塩素酸の洗浄機序第4章 次亜塩素酸の高分子材料への浸透と脱臭・脱色・抗菌機序第5章 野菜の洗浄・殺菌への利用第6章 室内空間における低濃度次亜塩素酸の安全性第7章 超音波霧化噴霧による空間微生物の制御第8章 強制通風気化方式による空間微生物の制御第9章 次亜塩素酸のシリコーンゴムへの透過と種々の不活化作用第10章 次亜塩素酸による局部腐食と劣化次亜塩素酸は,1800 年代の半ばから使用されてきた消毒剤で,塩素消毒の活性因子として知られている.次亜塩素酸が使用され始めた当時は,塩素水という名称で産婦人科医の手指消毒に用いられ,産褥熱で死亡する患者数を減少させたことでその効果が初めて確認されたという歴史がある. 現在では,家庭用の漂白剤,赤ちゃん用品の消毒剤,浴室用のカビ取り剤,配管洗浄剤などの主成分として幅広く使用されている.塩素消毒の代表例は,水道水の消毒である.遊離残留塩素濃度(水道栓で0.1ー1.0 ppm)を適切に管理すれば,各種の微生物に対しては殺菌および静菌効果を示す一方で,人の健康には無害である. また、次亜塩素酸ナトリウムや高度さらし粉の希釈水溶液に加え,電気分解で調製した次亜塩素酸水や電解次亜水,次亜塩素酸ナトリウム水溶液に酸性溶液や炭酸ガスを機械で混合して安全に調製した弱酸性次亜水がある.これらの水溶液の主たる活性因子はいずれも次亜塩素酸であるが,各水溶液のp H の違いにより洗浄,殺菌,漂白,脱臭の作用効果は大きく異なる.これは,次亜塩素酸の解離度が水溶液のp H に依存して変化するためである.また,従来の次亜塩素酸水溶液の使用対象は設備・機器・食材などの「モノ」であったが,最近では浮遊菌・落下菌そして付着菌
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